21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

新聞書評

平成の30冊

すごく今更感があるけれども、時間がある今、触れておこう。朝日新聞の「平成の30冊」についてである。 ところで平成になったとき、私はたしか九歳だった。そう思えば、私が読書らしい読書をしたのはすべて平成のうちのことで、同時代作品というのは、すべて…

11月23日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 池澤夏樹評 水村美苗『日本語が滅びるとき ―英語の世紀の中で』(筑摩書房) さて、日経新聞には水村氏じしんの随筆が載っていて、末期の母の介護とこの本を書くこと、が同時期であり結びついていたことが書かれていたが、なるほど池澤夏樹の書…

10月19日付新聞書評メモ

しばらくご無沙汰しました。どうしても、毎日新聞の書評に出ていた下記の本が欲しいのですが、Amazonでも売ってません。どこで買えるんですかね。堀江敏幸評 『雪の宿り −神西清 小説セレクション』(港の人)ちなみに神西清はチェーホフなどの翻訳で有名な…

7月27日付 新聞書評メモ

【日本経済新聞】 ☆高山宏評 ミシェル・ド・セルトー『ルーダンの憑依』(矢橋透訳 みすず書房) かなり古い本。そして「アナール学派」という名前は昔から聞きながら、その実何なのかよく分からない学派の本らしい。だがもともと同一のものだった「ファクト…

7月20日付 新聞書評メモ

【日本経済新聞】 ☆郷原信郎評 細野祐二『公認会計士VS特捜検察』(日経BP社) 粉飾会計事件に関わったとされる会計士が書いた本、で、このタイトルとなれば『国家の罠』的なものを想像してしまう。あそこまで、大上段に振りかぶれているだろうか?☆富山太佳…

7月7日 新聞書評メモ

新聞買いにいけないので、減量ですが。【日本経済新聞】 ☆鈴木竜太評 高橋克徳ほか編『不機嫌な職場』(講談社現代新書) R・I・サットン(矢口誠訳)『あなたの職場のイヤな奴』(講談社) 成果主義になって、職場にわがままな奴が増えたことにより、職場が…

6月8日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆堀江敏幸評 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(水野忠夫訳 河出書房新社) ロシア文学を専攻したものとしては、恥ずかしい限りだが、実はこの小説最後まで読み通したことがない。おそらく、出逢う時期が悪かったのだろう。すでに…

6月1日付 新聞書評メモ

簡単に自分の生態を鑑みるに、暑くなってくるとウツになる、というのがあるようで、何もする気が起きません。というか自分が何をしているのか分からなくなるので、ブログのタイトルを間違えたまま一週間放置したりするようです。【毎日新聞】 ☆小西聖子評 D…

5月25日付 新聞書評メモ

【日本経済新聞】 ☆自著評 岩下尚史『見出された恋』(雄山閣) 『荒地の恋』を読み終えた途端、三島由紀夫の若き日の恋愛(ちなみにヘテロセクシャル)を書いた小説の書評が出た。ゲーテやヘミングウェイが登場するクンデラの『不滅』や、クッツェーの『ペ…

5月18日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆中村桂子評 丸谷才一『蝶々は誰からの手紙』(マガジンハウス) 書店で手に取ったものの、購入するかどうか迷った一冊の書評本の書評が出た。最近このブログもうまく書けなくなってきたので、人の書評をまとめて読むのも手かも知れない。☆張競…

5月11日付 新聞書評メモ

この一週間、風邪が抜けなかったりして更新せず、失礼いたしました。【毎日新聞】 ☆山崎正和評 安富歩『生きるための経済学』(NHKブックス) 「選択の自由」は意志を殺す、という内容の本らしい。実は書評を読んでいても、どんな内容の本なのかよく分からな…

5月4日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 「源氏物語特集」この程度のスペースで、与謝野晶子訳、谷崎潤一郎訳、円地文子訳、瀬戸内寂聴訳を比較してのける鹿島茂さんは、さすがというより他ない。☆若島正評 巨椋鴻之介『禁じられた遊び 巨椋鴻之介詰将棋作品集』(毎日コミュニケーシ…

4月27日付 新聞書評メモ

さて、ブレイクスルー。出版界もゴールデンウィークに向け、仕事を急いだのか、読みたい本が書評に集まってきた。ここのところ本を読むこと自体が不調だったが、これでまたどしどし読めるかも知れない。【毎日新聞】 ☆堀江敏幸評 蜂飼耳『転身』(集英社) …

4月21日付新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆自著評 いしかわじゅん『漫画ノート』(バジリコ) 漫画家による漫画評。『失踪日記』の吾妻ひでおへのインタヴューが中心というところが心をひく。☆小西聖子評 岩切正介『ヨーロッパの庭園』(岩波新書) 大規模な庭園というものは権力と無縁…

4月13日付新聞書評メモ 

なんだかここのところ、書評不作なのだが。【毎日新聞】 ☆湯川豊評 池澤夏樹『星に降る雪/修道院』(角川書店) 文学全集のみならず、池澤夏樹氏が最近旺盛に仕事をしている。最近の本は全く読んでいないのだが、厚みのある本を見るにつけ、現代でも重要な…

4月6日付 新聞書評メモ

今週は日経に、『バートルビーと仲間たち』、毎日に『土曜日』と『転生夢現』が出た。しかも早く出た(すでにこの欄に書いた)方の書評の方が優れており、散々な状況だったと言える。【毎日新聞】 毎日新聞書評欄の評者が微妙に変わった。☆山崎正和評 喜志哲…

3月30日付 新聞書評メモ

【日本経済新聞】☆編集委員 浦田憲治評 『文学界』四月号 新旧の作家を集めた、「ニッポンの小説はどこへ行くのか」という座談会を収めているという。タイトルからも、記事を読んでも、ありきたりな内容しか想像されないが、そこは書評の妙で、これを同じ『…

3月23日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆小西聖子評 E・S・ヴァレンスタイン『精神疾患は脳の病気か?』(中塚公子訳 みすず書房) 「向精神薬の科学と虚構」というサブタイトルがついている。ミシェル・フーコーの『精神疾患とパーソナリティ』を引くまでもなく、精神疾患はかなら…

3月16日付 新聞書評メモ

今週はけっこう書評欄が当たりです。【毎日新聞】 ☆池澤夏樹評 エンリーケ・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』(木村榮一訳 新潮社) またまたラテンアメリカ文学だが。何者でもあるまいとして生きる、メルヴィル作品の登場人物バートルビー。そのバー…

3月9日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆小島ゆかり評 『雨の言葉 ローゼ・アウスレンダー詩集』(加藤丈雄訳 思潮社) 前世紀の過酷な時代を生きた、ユダヤ系ドイツ詩人による詩集。まったく未知の人だが、書評に引用された詩が美しいので心惹かれる。☆富山太佳夫評 カルロ・コルド…

3月2日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆若島正評 フリオ・コルタサル『愛しのグレンダ』(野谷文昭訳 岩波書店) 淡々としたボルヘスに対し、情熱的なコルタサル、とする書評がとても面白く、この幻想短篇集を読みたくさせる。しかし、最近の書評欄には、南米文学の書評が充実してい…

2月24日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 「この人・この3冊」は好きなコラムだが、専門違いの「この人」に当たると、まったく何のことを書いているのか分からなくなることと、取り上げられる本の5割以上が、「品切れ」なのが些かの難点と言える。新刊・売れ行き良好書のみの書評への…

2月17日付 新聞書評メモ

【日本経済新聞】 ☆川北稔評 ニーアル・ファーガソン『憎悪の世紀』(仙名紀訳、早川書房) 感情を主題に歴史を語る、というのはいささか無理がある気もするが、もちろん、20世紀ほど感情が表だって(マスコミなどに乗って)伝えられた世紀もないわけで、…

2月10日付 新聞書評メモ

日曜日には、二紙以上の新聞書評を読むのを日課としている。基本は、日経と毎日である。日経は社会人になって、しょうがなく読み始めたのだけれど、3年経ってみると、いちばんバランスの取れた書評が掲載されているように感じる。毎日は学生のときから読ん…