21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大森望編『逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成F』

ここのところ『ジェイン・エア』を読んでいるのだが、年末年始にかけて読んでいたのはSFっぽい本が多く、昨日の記事を書いたあとで、そういえばこんな本も買ったな、と思って読みはじめたらおもしろくて、一気読みしてしまった。とりあえず『ジェイン・エア…

G.オーウェル『一九八四年』 第二部

「誰に習ったんだ?」彼は言った。 「祖父よ。わたしが小さかった頃、よく歌ってくれたわ。蒸発させられたの、わたしが八つのとき――とにかく姿を消したわけ。レモンって何だったのかしら」彼女は脈絡のないことを付け加えた。「オレンジは見たことがあるの。…

伊藤計劃『ハーモニー』

「ああ。わたしはものすごい吐き気に襲われた。 駄目なんだよ、お母さん。 わたしはやせ細って動かないからだのなかでそう叫んでいた。ぜんぜん駄目なんだよ。そうやって、誰彼構わず他人の死に罪悪感なんて持っちゃ、いけないんだよ。だって、ミァハとお母…

雑感: 偽善について

「人々は見たいものしか見ない。世界がどういう悲惨に覆われているか、気にもしない。見れば自分が無力感に襲われるだけだし、あるいは本当に無力な人間が、自分は無力だと居直って怠惰の言い訳にするだけだ。だが、それでもそこはわたしが育った世界だ。ス…

ダイジェスト版

みなさま、明けましておめでとうございます。大変、ご無沙汰いたしました。休んでいるあいだ(なにも書かないでいるあいだ)、カウンターが好景気に回りつづけており、なんだか申し訳ない感じです。 この間、仕事が忙しかった、というよりは、なんだか発信す…