2月17日付 新聞書評メモ
【日本経済新聞】
☆川北稔評
ニーアル・ファーガソン『憎悪の世紀』(仙名紀訳、早川書房)
感情を主題に歴史を語る、というのはいささか無理がある気もするが、もちろん、20世紀ほど感情が表だって(マスコミなどに乗って)伝えられた世紀もないわけで、成功しているとすればきっと面白い本になっていると思う。
☆佐藤亜紀評
イアン・マーキュアン『土曜日』(小山太一訳、新潮社)
今日の新聞書評の中では、書評自体がいちばんすぐれていた一本。究極の「勝ち組」たる脳外科医が、なんらかの悲惨に出逢うらしいのだが、主人公の経歴を丁寧に書くだけで、作品のプロットにはまったく触れられない。それが、作品に対する興味をよりかきたてる。
☆関口和一評
ローレンス・レッシグ『CODE VERSION2.0』(山形浩生訳、翔泳社)
ネット社会の規制について書いた本。最近の関心事として。
【毎日新聞】
☆丸谷才一評
マリオ・バルガス・リョサ『楽園への道』(田村さと子訳、河出書房新社)
暑い国の文学らしいタイトルに心惹かれる。やはり温度というのは人間の精神生活に影響を与えるだろう。ラミレスが夏場になると打ちだすように。
☆海部宣男評
菅野由利『生命科学の冒険』(ちくまプリマー新書)
翻訳書ばかりになってしまった。