21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤亜紀『小説のストラテジー』 8「ディエーゲーシス/ミメーシス」

ところで、実際彼が聴いたのは何だったのでしょう? 例のジャジャジャジャーン、がウィーン体制の政治的閉塞にぶち当たったベートーベンの苦悩に聴こえるとすれば、それは空耳です。(1「快楽の装置」) 伊藤計劃のブログに「我々は手遅れの季節に住んでいる…

宮田光雄『ナチ・ドイツと言語』

そこから、さらに政治的ジョークは、《通風弁》であったばかりではなく、そうした体制への順応にたいする《心理的アリバイ》(H・シュバイツァー)としての機能もあったかもしれないという、まことにうがった解釈も出てくる。すなわち、権力からの締めつけに…

おわび

これまでGeorge OrwellをJでつづっておりました。すいません。恥ずかしいことこの上ねえ。

C.ブロンテ『ジェイン・エア』 26

私は果樹園の塀に沿って行ってその角を曲がった。ちょうどそこに牧場に向かって開いている二本の石の柱がそれぞれ石の玉をいただいている門があって、そこから私はそっと屋敷の正面を覗くことができた。私はどこか寝室のブラインドがもうあがっているかもし…

G.オーウェル『一九八四年』 第三部

しかしオブライエンはすぐ側に立っていた。頬にはまだ、金網の冷たい感触が残っている。(第三部5) 人間にとっていちばん恐ろしい拷問とは、徐々に、しかし否定しようのない確からしさをもって、自分の無力を実感することではないのか。たとえば受験だとか…

C.ブロンテ『ジェイン・エア』 23

ヘレンは私の指を温めるためにゆっくりさすりながら、 「もし世界じゅうの人間があなたを憎んであなたのように悪い人間はいないと思っても、あなたの良心があなたがすることを認めて、あなたは何もとがめられるようなことはしていないとみとめるなら、あなた…