21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』 「ゼルダ・フィッツジェラルドの短い伝記」

彼女は鋼鉄とガラスとコンクリートの集合物を上り、天井高く音の響くドームの下を歩いてくぐり、そしてニューヨークの街に出た。ホテルに着く前に彼女はもうその街の一部になってしまった。(「自立する娘」) 非常にありきたりな議論ではあるのだが、人びと…

『桂米朝コレクション4』 「帯久」

焼き払ろうてこまそ、ほんまに(28ページ) 「帯久」ほどリアルな噺はない。東横堀で繁盛する呉服屋を経営していた和泉屋与兵衛のところに、同じ町内の帯屋久七が無心にくる。かれは商売の運転資金を借りにきているだけで、一定の期間をおけば返しに来るのだ…

ダイジェスト版

3月は出張に明け暮れ、さらに4月はモスクワで残った業務の処理に明け暮れ、いつの間にやらこの国ですら春になってしまった。この2箇月くらい、飛行機の中で少しばかりの本を読んだだけだが、少しでも更新しておこう。 ロンドンでは、カズオ・イシグロ『遠い…