21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2014-01-01から1年間の記事一覧

夏目漱石『彼岸過迄』 「停留所」

その上敬太郎は遺伝的に平凡を忌む浪漫趣味(ロマンチック)の青年であった。かつて東京の朝日新聞に児玉音松とか言う人の冒険談が連載された時、彼はまるで丁年未満の中学生のような熱心を以て毎日それを迎え読んでいた。その中でも音松君が洞穴の中から踊…

R.ブローディガン『ビッグ・サーの南軍将軍』

彼女の髪とカリフォルニアはみごとに調和している。(129ページ) 本年5月から、パリに暮らしている。敬愛する詩人や芸術家があくまで憧れたパリである。しかしながら、「人生は一篇のボードレールに及ばない」、という単純な事実に気づいて、遊学を決めこん…

佐々木俊尚『「当事者」の時代』

簡単に「読書メーター」で感想を書こうとしたら、文字数が全然足りなかった。困ったものだ。困ったので、ここで書きたいだけ書く。 書いてあることに納得できなくはないのだが、全体に主語がない本である。戦後の復興を進めるにあたり、大衆としての日本人が…

今月読んだ捨ておけぬ三冊(1月編)

気が早いが、気が向いたので、このまま書き続けよう。 ここ数年、年間通してやってみる趣味を決めており、2011年がSF、12年が映画、13年が将棋、という具合であった。ともかくやりたいこと(主に室内遊び)が多過ぎて、ときおり精神のバランスが崩れ、好きな…