21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

平成の30冊

 すごく今更感があるけれども、時間がある今、触れておこう。朝日新聞の「平成の30冊」についてである。

 ところで平成になったとき、私はたしか九歳だった。そう思えば、私が読書らしい読書をしたのはすべて平成のうちのことで、同時代作品というのは、すべて平成の作品だったということだ。そう思えば、「平成の30冊」にも俄然興味が湧いてくる。

 まずは、朝日の30冊で既読のものがいくつあるか見てみよう。

 

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』、宮部みゆき火車』、桐野夏生『OUT』、小川洋子博士の愛した数式』、村上春樹ねじまき鳥クロニクル』、村田沙耶香コンビニ人間』、福岡伸一生物と無生物のあいだ』、高村薫マークスの山』、辺見庸『もの食う人びと』

 

 わずか9冊だった。ちなみに『1Q84』はBOOK2までは読んだのだが、BOOK3を読んでいない。

 まず、一覧して思うのは、大江健三郎入れないんですね、ということ。平成にノーベル文学賞獲った唯一の日本語作家なのに。イシグロに代替させるのは無理があると思う。

 平成の大江の作品が、昭和に書いた作品と比べるとすごく見劣りするのは、誰もが納得するところだろうが、それでも『燃えあがる緑の木』や『宙返り』などはあるわけだし、村上春樹も『1Q84』の方が『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と比べて素晴らしい、とは言い切れないように思う。思想的にも朝日だから、特に忖度するところもなかっであろう。なので、自分が選ぶなら『燃えあがる緑の木』を入れようと思う。

 ちなみに芥川賞作家では、小川洋子村田沙耶香辺見庸の他に、町田康『告白』、多和田葉子『献灯使』、辻邦生西行花伝』が入っている。辻邦生だけがすごい大物感。しかし、あまり沢山読んでいないので、大物ならば古井由吉を入れたい。作品は『野川』か『辻』か『白暗淵』か。あとエポックメイキングであった、という意味では綿矢りさを入れるべきではないか。

 直木賞宮部みゆき桐野夏生高村薫の他に、北方謙三『大・水滸伝』、浅田次郎蒼穹の昴』。女性ミステリ作家三人は、作品の選択も含めて納得度が高い。「このミステリーがすごい」一位も考慮に入れるなら、横山秀夫『64』と馳星周不夜城』も入れたい。加えてSFが一切ないのだが、個人的には伊藤計劃飛浩隆をどうしても入れておきたい。

 この選び方で、自分なりの「平成の10冊」を選ぶならこういう感じか。

 

大江健三郎『燃えあがる緑の木』

村上春樹ねじまき鳥クロニクル

古井由吉『野川』

綿矢りさ蹴りたい背中

宮部みゆき火車

桐野夏生『OUT』

横山秀夫『64』

馳星周不夜城

伊藤計劃『ハーモニー』

飛浩隆『ラギッド・ガール』

 

 また時間があれば、ノンフィクションと個人的な思い入れのある本を加えて、30冊にしてみたい。