21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鴻巣友季子『翻訳教室』 「第一章 他者になりきる」

では、この壁を打ち破って想像力の枠を広げるにはどうしたらいいでしょう? いきなり想像力だけを広げることはできません。想像力を豊かにするには、経験や知見の土台が欠かせないからです。しかし経験を広げ、知見を深めるといっても、例えば被災地に赴いて…

落合博満『コーチング』

私は、落合博満というプロ野球選手を”欲の塊”だと思っている。あらゆる面に欲深く取り組んでいたから、余分なプレッシャーを感じる暇などなかったのだ。(第五章 勝ち続けるために、自分自身を鍛えろ!) 何回かここにも書いているとおり、私は筋金入りのヤ…

F.ドストエフスキー『白痴』 第一部

「まったくですわ、将軍。私もあなたがそんな優しい心をお持ちだなんて、想像もつきませんでした。なんだか残念なくらい」(322ページ) ドストエフスキー『白痴』の第一部はゴシップ小説である。おおがかりなゴシップの構造の中で、登場人物達がそれぞれア…

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

私も半休ばかりで入社してから海外旅行なんて一回も行ったことがなかった。有休はほとんど取らないうちに三年ごとにリセット、お母さん私の有休は一体どこに行ったんでしょうね、消化されたのよ、なにに、社会に。(136ページ) 芥川賞同時受賞のときは、ど…

7月の読書メーター

7月の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:1360ページナイス数:1ナイスこれからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)読了日:07月26日 著者:マイケル サンデル冬至草 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)読了日:07月25日 …

景山民夫『普通の生活』 「トニー谷のディナージャケット」

僕のJ45にそれ以外の意味合いがあるとすれば、それはニューヨークで生きていくのに絶対に必要な、自分のアイデンティティーとしての役割を果たしてくれたことだろう。(「ギブソンJ45」) 私は中高一貫の学校に通っていたのだが、中3のとき、教師が授業中に…