21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』

もうお分かりだろう、ケータイ小説が売れているのではない。実は小説が売れていないのだ。(第四章) 最近、『電波男』が文庫化されたが、本書は『電波男』や喪男三部作のような著者の魂の叫びとは異なり、ライター本田透としてのルポである。しかし、これが…

A.ベンダー『わがままなやつら』 第六話「マザーファッカー」

その日二人が愛し合ったときそれはあるべき姿に一歩だけ近づいていて彼女は終わってからワインを持ってきて二人は腰をおろし緑色のカーテン越しに、裸のまま、深いおなかをしたワイングラスを手にして日没を見つめたのでした。緑は暗くなり黒になった。彼は…

加門七海、福澤徹三、東雅夫編『てのひら怪談』

ちょっと怪我をしたりしまして、しばらく更新せず失礼しました。 さて、怪談や都市伝説のたぐいが好きで、そんな私にはぴったりの一冊。とりたててホラーが好きというわけではないのだが、短篇という形式美のなかで、書き手(または語り手)の技術を見るには…

黒川創「かもめの日』 

ここに「かもめ」が加えられたという事実のなかに、少なくとも、ソ連空軍当局によるジェンダー・イメージの投影がうかがえよう。言うまでもなく、「かもめ(チャイカ)」は女性名詞なのである。(6ページ) 登場人物の一人、あまり売れない作家である瀬戸山…

6月8日付 新聞書評メモ

【毎日新聞】 ☆堀江敏幸評 ミハイル・ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』(水野忠夫訳 河出書房新社) ロシア文学を専攻したものとしては、恥ずかしい限りだが、実はこの小説最後まで読み通したことがない。おそらく、出逢う時期が悪かったのだろう。すでに…

周達生『世界の食文化2 中国』 第一章

食文化を語る上で、「中国」とはあまりにもハードルの高い対象である。本書は国立民族学博物館名誉教授の碩学によるものだが、さすがにその力をもってしても、語られる範囲は限定されてしまう。よく知られた、中国語で「鴨」とは何か?という話に始まり、学…

6月1日付 新聞書評メモ

簡単に自分の生態を鑑みるに、暑くなってくるとウツになる、というのがあるようで、何もする気が起きません。というか自分が何をしているのか分からなくなるので、ブログのタイトルを間違えたまま一週間放置したりするようです。【毎日新聞】 ☆小西聖子評 D…