21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

村上龍×経済人『カンブリア宮殿1』(1)

新幹線の駅でなにげなく買った『カンブリア宮殿』の本が、ロシアに持ち帰って読んでみたらすごく面白かったので、何回かに分けて色々書くつもりである。 『グラップラー刃牙』で最高傑作の闘いと言えば、まちがいなく28巻の花山薫VS愚地克巳なのだが、主人…

吉田修一『悪人』

かつてこれほどまでに「人恋しい」小説はなかったと言いたくなるほどの切なさと、希望のない生活のなかでの適度な自己の突き放し。レヴィの本には、表面的な諧謔はあっても「人恋しさ」がない。人恋しさのない孤独は、深いようでいて浅いのだ。(「人恋しさ…

ダイジェスト版

最近こればっかになってきましたが、またしてもダイジェスト版で更新します。 年末年始に日本に帰国して、横山秀夫『クライマーズ・ハイ』を機中で読んだ。そう、日航機墜落事故の話であることを知らなかったのだ。しかも乗っていたのは、日航機よりもずっと…

B.ヴィアン『うたかたの日々』

アリーズとイジスは同じような恰好をしていたが、彼女らのドレスは水色だった。その縮れた髪の毛は陽光の中で光っており、肩の上に重い、香りのいい束となって落ちかかっていた。どれを選んでいいか戸惑ってしまうほどみんな美しかったが、コランにはわかっ…