21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ロシア映画メモ1 ウラジミール・ハチネンコ「ドストエフスキー」(前編)

2月くらいから、ぼちぼちとロシア映画をDVDで観ていて、何個か感想も書いてみていたのだけれど、どうも「100%オススメ!」というものにめぐりあえなかった。しかし、この「ドストエフスキー」はいい。正確に言うとスクリーンにかかるものではなくて、テレカ…

ロシア映画メモ2 ウラジミール・ハチネンコ「ドストエフスキー」(後編)

さて、後編。各話について、ちょっと詳しく書くので、ネタバレがいやな人は見てはいけない。第一話:ペトラシェフスキー事件に連座しての死刑執行のシーンから、シベリアでの監獄生活が終わるまで。ともかく、「セットにお金かかってるなー」と感心する。と…

雑感

たぶん、「ほんやくコンニャク」が市販されだしたころ、ラッダイトの気持ちがわかるのだろう。

W.フォークナー『アブサロム、アブサロム!』5

まったく、いろいろと、くどくどしいことだ。傾聴する必要などなかったのだが、いやでも聞かされたのだ。そして、やれやれ、いままた最初からくりかえして聞かされるのか。こいつは父の口調とそっくりだな、女というものは美しい生き方をする。女というもの…

W.フォークナー『アブサロム、アブサロム!』3

彼女は時間を封じこめてしまったようだった。彼女は、蜜月もなければべつに変わったことも起こりはしなかった過去のある年月を、それが実際にあったかのように措定したのだ。するとその歳月をとおして、(現在では)五人になった顔が、あたかも真空中に掛け…

開沼博『「フクシマ」論』

もう一つ生まれてくるべき疑問は「3・11の間際まで、そこはいかなる姿を見せていたのか」という問いだろう。3・11以前の福島原発は歴史のなかで無視され、なかったことにされてきた存在だった。それはとりわけ、原発と社会の葛藤が明確になった九〇年…

大庭みな子「寂兮寥兮(かたちもなく)」 七

「きっと、世間の人たちは、あたしたちが、夫と妻に裏切られたあたしたちが、当然の成り行きで慰め合っていると思うわよ。もし、かりに、あの人たちがあたしたちのことを知っているにしても」 「そんなところだろう。女房はいつもぼくをずる賢い男だと言って…

4月の読書メーター

4月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2587ページナイス数:0ナイス順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)読了日:04月27日 著者:グレッグ イーガンシェイクスピア全集 (3) マクベス読了日:04月15日 著者:W. シェイクスピアうほほいシネクラブ (…

佐野眞一『甘粕正彦 乱心の曠野』

弁護人は、なぜ事件と無関係な先祖のことなど聞いたのか。実はこの質問は、次に続く一連の質問への周到な伏線だった。甘粕の答弁が終わると、弁護人はすかさず聞いた。 ——被告人は日頃からたいへん子どもを愛しているようですが、それはなにゆえですか。 (…