21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

S.ソンタグ『隠喩としての病』

近代以前の病気観では、性格の役割は罹病してのちの患者の行動とだけ関係するものであった。他の極限状況と同じで、恐るべき病気もまた人間の最も醜いものと美しいものを引き出すというのである。けれども、流行病の平均的な記述を見てゆくと、病気が性格に…

ロシア文学マストリード100を作る(第一回)

四十を過ぎて、とは毎回のように書いているけれど、実際のところ、加齢によってものの考え方というのは変わるものだ。 学生の時はロシア文学の研究者を志していた。勉強が足りなくてなれなかったが、それだけではなく作品や社会、そして人間に対する視野もせ…

ミステリをたくさん読む(20年3月)

世の中たいへんなことになっており、仕事もほぼテレワーク。むろん感染も恐ろしいのですが、魔女狩り的な状況も見えてきており、メタファーとしての病についても再考すべき時期かも知れません。これまでに読んだミステリ作品の中では、『鏡は横にひび割れて…