21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

夏目漱石『彼岸過迄』 「停留所」

その上敬太郎は遺伝的に平凡を忌む浪漫趣味(ロマンチック)の青年であった。かつて東京の朝日新聞に児玉音松とか言う人の冒険談が連載された時、彼はまるで丁年未満の中学生のような熱心を以て毎日それを迎え読んでいた。その中でも音松君が洞穴の中から踊…

R.ブローディガン『ビッグ・サーの南軍将軍』

彼女の髪とカリフォルニアはみごとに調和している。(129ページ) 本年5月から、パリに暮らしている。敬愛する詩人や芸術家があくまで憧れたパリである。しかしながら、「人生は一篇のボードレールに及ばない」、という単純な事実に気づいて、遊学を決めこん…