21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2017-01-01から1年間の記事一覧

K.イシグロ『わたしを離さないで』 感想その①

二年間も更新を放置しているうちに、イシグロがノーベル賞を受賞してしまった。それはとても良いことなのだが、前回の『わたしたちが孤児だったころ』の感想も途中で放棄している身としては、なかなか感想文も上げづらい。しかし、もういちど『わたしを離さ…

K.イシグロ『わたしを離さないで』感想その②忘れられた登場人物

最初に読み終えたとき、登場人物は何人、頭の中に残っているだろう? 正直を言えば、わたしの場合、さすがに、主人公級のトミー、ルース、キャスは大丈夫としても、あとはマダムと、ブルドックの顎を持つルーシー先生くらいだった。マダムよりも重要なはずの…