21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

ビジネス本

C.アンダーソン『フリー 無料からお金を生みだす新戦略』

この本、このテの本にしてはひさびさに面白かった。そもそもアメリカのビジネス本って、ジョークを読まされるたびに「読み代」を課金したいようなものが多いが、この本のはそれなりに笑えた。「私は子沢山だから本はフリーでも、講演にはお金をもらわなけれ…

『稲盛和夫の実学』 第三章「筋肉質の経営に徹する」

私が言う人間として正しいこととは、たとえば幼いころ、田舎の両親から「これはしてはならない」「これはしてもいい」と言われたことや、小学校や中学校の先生に教えられた「善いこと悪いこと」というようなきわめて素朴な倫理観にもとづいたものである。(…

柳井正『一勝九敗』

現代人は情報によって行動することが多い。良い商品をおいておくだけでは売れない。どこがどのように「良い」のか、このプライスで、どこで、いつから売っています、とちゃんと告知しなければいけない。ユニクロ一号店を回転した二十年前と今とでは、世の中…

村上龍×経済人『カンブリア宮殿1』 (3)

家賃の支払いのために銀行を訪れていて、待ち時間に『週刊ダイヤモンド』のツイッター特集を読んでいたのだが、こういうのを読むと何となく自分の人間観がゆらぐのを感じる。 また、これも何かのビジネス雑誌で読んだのだが、ジャック・アタリという人は、人…

村上龍×経済人『カンブリア宮殿1』(2)

今日、なぜかふと思いついたのだが、出版不況はポストモダン批評のせいではないか。物語を純粋に楽しむ気持ちも、作家の生涯に対する下世話な興味も封じられ、書き手としてもがんじがらめにされた結果、コンテンツの魅力が失われてしまったのだ。これを、か…

村上龍×経済人『カンブリア宮殿1』(1)

新幹線の駅でなにげなく買った『カンブリア宮殿』の本が、ロシアに持ち帰って読んでみたらすごく面白かったので、何回かに分けて色々書くつもりである。 『グラップラー刃牙』で最高傑作の闘いと言えば、まちがいなく28巻の花山薫VS愚地克巳なのだが、主人…

吉本佳生『スタバではグランデを買え』 第七章

本書の第七章は、どうにもルサンチマンの香りがするが、それでも(それだけに)一番読みがいのある章である。「比較優位」という言葉をテーマに、「仕事の割り振り方」を書いている。 「仕事のできる人」と「仕事のできない人」が、「単純作業」と「センスの…

吉本佳生『スタバではグランデを買え』 第五章

疑問形、命令形タイトルのビジネス本は多々あるが、不思議なことに、そのタイトルのくだりは面白くないことが多い。本の内容云々より、タイトルそのものが(本を販売する)マーケティングの現実の中にあるからだろう。 ただ、この本に関してはタイトルの章は…