この本、このテの本にしてはひさびさに面白かった。そもそもアメリカのビジネス本って、ジョークを読まされるたびに「読み代」を課金したいようなものが多いが、この本のはそれなりに笑えた。「私は子沢山だから本はフリーでも、講演にはお金をもらわなければならない」、といったベタなものから、マイクロソフトがリナックスを受けいれるまでの段階を、「悲嘆の五段階説」に合わせたようなものまで。同じことを繰り返し何百回も言う、というビジネス本の本質は変わらないわけだが、それぞれのエピソードを読ませよう、という努力に好感が持てたのである。
(『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』 高橋則明訳 NHK出版)