21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

吉本佳生『スタバではグランデを買え』 第七章

 本書の第七章は、どうにもルサンチマンの香りがするが、それでも(それだけに)一番読みがいのある章である。「比較優位」という言葉をテーマに、「仕事の割り振り方」を書いている。
 「仕事のできる人」と「仕事のできない人」が、「単純作業」と「センスの必要な仕事」をする場合、いくら信頼しているからといって「仕事のできる人」に、すべての仕事を割り振ってしまうと、「単純作業」により「センスの必要な仕事」が犠牲になってしまう。このような機会の損失を「機会コスト」と呼び、「機会コスト」を大切にするために、分業を大切にしましょう、という話だ。あとは、英語や資格ができても、年収が上がるわけではない、とかなんとか書いてある。
 個人的には、仕事は「する人」と「しない人」しかいないと思っていて、自分は仕事ができるとか、あの人はできるとか思ってしまうと、そこに落とし穴が生じる、と思っているが、まあ、本書にあるように「向き」「不向き」で理解するのが合理的かも知れない。これでまた、「がんばらなくていい」理由ができる。

子供じみた夜 うずくまる大人ひとり及川光博「その術を僕は知らない」)