ミステリをたくさん読む(20年3月)
世の中たいへんなことになっており、仕事もほぼテレワーク。むろん感染も恐ろしいのですが、魔女狩り的な状況も見えてきており、メタファーとしての病についても再考すべき時期かも知れません。これまでに読んだミステリ作品の中では、『鏡は横にひび割れて』がすごく示唆的。ソンダグでも読んでみようかな。
この企画的には、当初の目標であった100冊を達成しました。これで「ベスト10」くらいについては語ってもいいと思うので、また落ち着いたらその10作が「なぜ好きか」を書きます。
コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』(日暮雅通訳、光文社文庫)★★★★★
P.D.ジェイムズ『女には向かない職業』(ハヤカワ文庫)★★★★★
小泉喜美子『弁護側の証人」★★★★☆
貫井徳郎『愚行録』★★★☆
結城昌治『死の報酬』★★★
若竹七海『暗い越流』★★☆
100冊目に大本命としてホームズ読んだのだが、素晴らしい作品は本当に素晴らしいものの、短篇集だけにハズレもないでもない。「オレンジの種」とか雰囲気だけでなんとかしている感が目立ってしまった。今回、気づいたのはホームズやワトソンの仕草で見せる作品だということ。指先をこすり合わせたり、目を閉じたり、ホームズは結構忙しない。富野由悠季の映像論の本で、会話のシーンが止まって見えないように人物にまばたきをさせる、というのを思い出した。
昭和ハードボイルドを読もう、という決意のもと、仁木悦子や結城昌治をまとめ読み。『冷えきった街』や『刑事』など実に味のある作品が発掘できた。ハードボイルドにおいて、探偵の「過去」が問題になるのは日本独特の現象なのか考察したいのだが、今のところ結城昌治はそうでもなかった。
P.D.ジェイムズのコーデリアは葉村晶につながる存在として読んだのだが、ルーキー感があって、初期の葉村よりも良かった。皮膚の下の頭蓋骨も読もう。
藤野可織『ピエタとトランジ』はミステリというのは無理があるのだが、ミステリをパロディにしたエンターテイメントとして名作。ある意味、感染ものでもある。
『ダヴィンチ・コード』も読んでおかねば、と思って読んだ。面白いけど登場人物少な過ぎでしょ、と思ったが、売れるにはこれくらいが正しいのかなあ。
(星5)『不夜城』『シャーロック・ホームズの冒険』『長いお別れ』『さらば愛しき女よ』『錆びた滑車』『OUT』『マルタの鷹』『高い窓』『満願』『鏡は横にひび割れて』『冷えきった街』『屍人荘の殺人』『おかしなことを聞くね』『女には向かない職業』『乱れからくり』『静かな炎天』『ゼロ時間へ』『杉の柩』『百舌の叫ぶ夜』『カーテン』『春にして君を離れ』『涙香迷宮』『私が殺した少女』『刑事』(結城)(星4.5)『ピエタとトランジ』『リトル・シスター』『五匹の子豚』『ブラック・ダリア』『さらば長き眠り』『さよならの手口』『ブラウン神父の童心』『悪いうさぎ』『孤狼の血』『弁護側の証人』『斜め屋敷の犯罪』『りら荘事件』『ノックス・マシン』『オーダーメイド殺人クラブ』『さむけ』(星4)『僧正殺人事件』『獄門島』『戦場のコックたち』『ミレニアム1』『依頼人は死んだ』『神様ゲーム』『スタイルズ荘の怪事件』『なめくじに聞いてみろ』『殺戮にいたる病』『新宿鮫Ⅹ 絆回廊』『ダヴィンチ・コード』『白い雌ライオン』『赤い収穫』『ビッグ・ノーウェア』『刑事マルティン・ペック 笑う警官』『プレゼント』『アリス殺し』『天使のナイフ』『折れた竜骨』『幻の女』(香納)『バッド・カンパニー』『マネーロンダリング』『鍵のない夢を見る』『ポケットにライ麦を』『果てしなき渇き』『ボーン・コレクター』『生ける屍の死』『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』『檻』『古書店アゼリアの死体』『ビブリア古書店の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち』(星3.5)『十角館の殺人』『不穏な眠り』『緑衣の女』『占星術殺人事件』『ローズガーデン』『Aではない君と』『愚か者死すべし』『11/22/63』『笑う男』『プレイバック』『教場2』『その可能性はすでに考えた』『クビキリサイクル』『LAコンフィデンシャル』『首無しの如き祟るもの』『生首に聞いてみろ』『メーラーデーモンの戦慄』『愚行録』(星3)『死の報酬』『秋季限定栗きんとん事件』『四日間の奇蹟』『人間の顔は食べづらい』『八月の降霊会』『暗幕のゲルニカ』(星2.5)『ミレニアム2』『弔鐘はるかなり』『真実の10メートル手前』『暗い越流』『ヴィラ・マグノリアの殺人』(星1)『一千兆円の身代金』