21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2011-01-29から1日間の記事一覧

G.オーウェル『一九八四年』 第二部

「誰に習ったんだ?」彼は言った。 「祖父よ。わたしが小さかった頃、よく歌ってくれたわ。蒸発させられたの、わたしが八つのとき――とにかく姿を消したわけ。レモンって何だったのかしら」彼女は脈絡のないことを付け加えた。「オレンジは見たことがあるの。…

伊藤計劃『ハーモニー』

「ああ。わたしはものすごい吐き気に襲われた。 駄目なんだよ、お母さん。 わたしはやせ細って動かないからだのなかでそう叫んでいた。ぜんぜん駄目なんだよ。そうやって、誰彼構わず他人の死に罪悪感なんて持っちゃ、いけないんだよ。だって、ミァハとお母…