21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

ダイジェスト版

最近こればっかになってきましたが、またしてもダイジェスト版で更新します。

 年末年始に日本に帰国して、横山秀夫クライマーズ・ハイ』を機中で読んだ。そう、日航機墜落事故の話であることを知らなかったのだ。しかも乗っていたのは、日航機よりもずっと落ちそうなア○ロフロート。冷や汗をかきながらも、「群馬側に飛行機が落ちたら大変なことになる、どうか落ちないでくれ」と願ってしまう新聞記者の心に妙に共感。仕事をしないわけではないのだけれど、大きな仕事にはびびってしまうところはサラリーマン心理をついていると思う。帰国してから『看守眼』という短篇集も読んだ。
 帰りの飛行機では一色伸幸『うつから帰って参りました』を読んだ。中学生のころ、ちょうど「ぼくらはみんな生きている」や「病院に行こう」が流行っていて、大きな衝撃を受けたものだ。自作の登場人物をファム・ファタルとして描いてしまう手法や、ページをめくるだけで衝撃が訪れるラストシーンなど、けっこうしつこい文章なのに一気に惹きこまれてしまうのは流石。関連して、香山リカ『うつで困った時に開く本』も読んだのは、先日も書いた『ワーニャ伯父さん/三人姉妹』のあと、神西清訳の『カシタンカ・ねむい』も読んで、すっかりチェーホフアパシーの世界にひきこまれてしまったからかも知れない。
 それではいけないと、保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』を読み、別に小説でなくても何か書き続けよう、と年頭に決意したのだが、結果ブログすら書かない始末。なんだか書くエネルギーが切れてしまっているのか、それともただ単に保坂和志の小説があまり好きではないからなのか。一方、本田透『がっかり力』には共感したりして、泥沼にはまっております。
 年末から読んでいたボリス・ヴィアン『うたかたの日々』もやっと読了。かなり魅力的な物語ではあるのだが、最初のころ進まなかったのは翻訳が悪い気もする。「警察の奉行」とか、たしかにフランス語はそんなニュアンスなんだろうけど、もっと考えて訳せよ、と。
 成田空港の本屋でたまたま手に取った雫井修介『クローズド・ノート』に関しては、オチがどう考えても読めてしまうのはさておき、80年代のマンガにしか登場しなさそうな恋敵が二人も登場したので笑った。タカビーな良家のお嬢様と英語ペラペラでナルシストのビジネスマン。いまどき「タカビー」なんて死語だが、英語しゃべれるだけでナルシストになってしまうやつはいるかもしれない。
 『志ん朝の落語』の2巻は人情噺集で、けっして悪い人はでてこないのだが、これが極めて心地よかった。やっぱ弱ってるのかなあ。。。