21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2012-04-07から1日間の記事一覧

馳星周『沈黙の森』

「カモシカでもいるのか?」 田口は疾風の視線の先を追った。樹木を鎧代わりにした山が風雪に抗っている。空は絶え間なく降り続ける雪に塗り潰されていたが、山はまだ闇の底に沈んだままだ。枝擦れの音が苦悶の声のようだった。 田口が歩を進めると、疾風は…

今月読んだ捨ておけぬ3冊(3月編)

スタニスワフ・レム『高い城・文学エッセイ』(芝田文乃ほか訳、国書刊行会) ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング『ディファレンス・エンジン』(黒丸尚訳、ハヤカワ文庫SF) 津原泰水『バレエ・メカニック』(ハヤカワ文庫JA) 番外 『諏訪敦絵…