21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

今月読んだ捨ておけぬ3冊(3月編)

スタニスワフ・レム『高い城・文学エッセイ』芝田文乃ほか訳、国書刊行会
ウィリアム・ギブスンブルース・スターリングディファレンス・エンジン黒丸尚訳、ハヤカワ文庫SF)
津原泰水『バレエ・メカニック』ハヤカワ文庫JA
番外 『諏訪敦絵画作品集 どうせなにもみえない』求龍堂

 最近、どうも速読というのがフジツな行為に思えてきて、色んな本を20〜30ページずつ読んでは、次の本に移り、次の日はまた元の本から、というように、5、6冊並行して読む読書スタイルになりつつある。山村修の影響はもちろんあるけれども、「週に1冊をじっくり読むんだったら、月4冊しか読めないじゃん!」みたいな不実さは残っているわけで、かなり浮気をしながら、それでも同じ本と2週間はつきあう感じが、なんか肌に合っている今日この頃です。
 さて、いつもこの今月の三冊は、それまでにとりあげたやつとどうしてもダブってしまうわけだが、今回『ディファンレス・エンジン』に関してはなにも書けなかった。もちろん、読みながら、こういうこと書こうかな、というのは考えていたのだけれど、やっぱりこの本、イッキ読みでせめて二周はしてからじゃないと語ってはいけない気がする。伊藤計劃は「年に五回は読む」と言ってたし。せめて再読しないとiterationしてないでしょ。
 いっぽうレムなんかは30ページずつのスタイルがすごくしっくりきた。私の知能レベルでは、レムの情報量を一気に消化しよう、ということがそもそも間違っているようで、しかしそれがなんだか1エピソードずつなら許されている気がする。『バレエ・メカニック』も密度からいけば似た部分があるが、どっちかというとイッキ食いするとクドい、と言ったほうが正しいのかなあ。