21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2012-02-03から1日間の記事一覧

『伊藤計劃記録 第弐位相』

本田美奈子の死と、宇宙戦争という映画は、ぼくのからだに起きた理不尽なできごとを経由して繋がっている。あなたは、体と心中するしかない。叙事的な映画というのは、そういうことを嫌でも感じさせてくれる。(11-10, 2005) 前巻の(、というべきか)『伊藤…

古井由吉『始まりの言葉』 「二〇世紀の岬を回り」

しかし探検の航海であるからには、仮りに幻想はもはやなくても希望は希望の、欲望は欲望の、もはや自動的(オートマティック)なものに化しても意志は意志の、冷たく凝固した顔なのだろう。大航海時代の冒険精神と人は取る。その背後にはしかし科学精神の展…