21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-10-17から1日間の記事一覧

古井由吉『木犀の日』 「椋鳥」

「いっそあたしと寝ていたらどうなの。泰子さんが大事な人に抱かれて逝くあいだ」(44ページ) モチーフに囚われて書く、というのは、作家性の一種の狂気を孕んだ部分なのだと思う。ひとつの風景や、物象に、必要以上の意味あいを持たせていき、ひとによって…

鹿島茂『パリ・世紀末パノラマ館』

これは、おそらく、百年単位で意識を切り替える思考法になれているヨーロッパの人間たちでも、ひとつの世紀に対して総括を出すのに世紀末の十五年を要するばかりか、そこから新しい世紀を生み出す準備にまた十五年を必要とするということをいみするのではな…