21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2009-11-28から1日間の記事一覧

J.ラヒリ『停電の夜に』 第3話「病気の通訳」

ほんの一瞬でいいから、ぴたりと停止した抱擁を、わが神像に見てもらいたいという気持ちに駆られた。(98ページ) 人間は身勝手な生き物で、病院で病人の通訳をしているカパーシーの身勝手な妄想と、旅行者の奥さんの身勝手な告白がからみ合うことによって、…

『桂米朝コレクション2 奇想天外』 「地獄八景亡者戯」

「幽霊のラインダンスに骸骨のストリップやて。……何を見せまんのやろなァ」「じごくばっけいもうじゃのたわむれ」と読む。おどろおどろしい題名だが、閻魔の法廷にたどり着くまでの道中を書いた滑稽譚である。おなじ文庫のシリーズの、このあいだの志ん朝が…