21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2008-07-19から1日間の記事一覧

J.D.サリンジャー『九つの物語』 第三話「対エスキモー戦争の前夜」

それは相手に聞こえたと見えて、彼は左足を窓際の腰掛にのせ、水平になった腿の上に怪我した手をのせた。そしてなおも下の通りを見続けていたが、「奴らはみんな、徴兵委員会へ行くとこなんだぜ」と、言った「こんだエスキモーと戦争するんだ。知ってるか、…

柳下毅一郎『興行師たちの映画史』 第四章

本書の最も重要な主人公は、トッド・ブラウニングである。カーニバルの旅芸人ブラウニングは、ヴォードヴィル、コメディ舞台の世界で名をあげ、やがて映画の世界に入るが、交通事故により芸人としての人生を終え、映画監督となる。はぐれものたちの鬱屈と哀…