21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2008-02-13から1日間の記事一覧

J.M.クッツエー 『エリザベス・コステロ』第六章

よい解説のついた翻訳小説に出逢ったとき、読書感想文はどうしてもそれに引きずられざるを得ない。訳者の鴻巣友季子さんは、本書の解説で以下のように述べる。「作家にとって最もおそろしい地獄、あるいは煉獄とはどんなものか? コステロにとって、それはク…

F.カフカ 『審判』第九章

それに反して、カフカ『審判』の第九章、「掟の門」のエピソードは深刻な顔をして読むべきなのかもしれない。この入れ子構造の物語、教誨師、門番に導かれて、Kは「犬のようだ!」と言って死んでいくわけだし、その後にはそれこそ「恥辱だけが生き残ってゆ…