21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

池上俊一『世界の食文化15 イタリア』 第三章

 休日の朝、ベッドからでるまえに30分ほどこのシリーズを読むのが習慣になっている。起きぬけに食べるのではなく、食べることについて考えるのは、一日をはじめる上で重要なモチベーションを与えてくれる。
 さて、人間は自分の身体というものを与えられているが、教習所はおろか説明書もついていなかったので、この使いこなしたことのないモノに関しては、常に不安を感じている。食がたんなる快楽でも生命維持活動の一環でもなく、健康維持だの人格形成だのややこしいことに関連して語られる。
 しかし、本書の第三章、ガレノスの四体液説と関連して食が捉えられた時代の話は抜群に面白い。「脂っこい食べ物は、腹を沈め、湿らせ、眠気と粘液(質)を増加させる、なぜなら、それは消化を妨げるからである」、とかいうのは現代の栄養学ともそんなに発想的に遠くないかも知れない。また、植物は「土」に結びついているので下船の食べ物で、鳥は「空気」の中に暮らしているので貴族の食べ物、というのも面白い。

(『世界の食文化15 イタリア』 農文協