21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

PLAYBOY9月号 『詩は世界を裸にする』

 齢30にして洋ピンに目覚めたわけではない。ただ白の大判の上質紙に詩のことばが踊っている場面にはエロティシズムを感じる。普段せまい空間に押し込められている言葉が(別に思潮社が悪いわけではないけれど)、大きな場所にのびのびしている、というだけでこの特集は「買い」である。
 最初に詩人を選んでいるのは池澤夏樹で(どうしていつもこの人が選ぶのだろう?)、選び方はかなり偏っているのだが、それがかなりしっくりきていて間違いのない選び方になっている。オーデン、サバ、シンボルスカに、エリティスとカヴァフィスというギリシャの詩人など10人。外れはない。また、プレイボーイの編集部が選んだらしき、プレイボーイっぽい詩の数々(たとえば金子光晴で「愛情69」を選ぶというような)もよい。

手のひらのすじを運命が
転轍手のように切りかえてみせると
時も、一瞬の間だけ、同意する

そうするほかない、人と人が愛しあう以上

その時天空はわたしたちの感情を演じてみせ
無垢は黒い死の鋭さをもって
世界を打つだろう

(エリティス『モノグラム』より 池澤夏樹訳)

出逢いに既に死が対置される。シンプルにして見事な構成に打たれる。
 ともかく、この雑誌は早く買った方がいいですよ。