21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

周達生『世界の食文化2 中国』 第三章

 ふだん、二段ベッドの位置にあるところで寝ている(下の段は本棚)ので、足を怪我している間は床にフトンを敷いて寝ていた。そんなわけで、いつも寝る前に読んでいたこの本、およそ二箇月ぶりの登場となる。
 「虫宴は成立するのか」と題された第三章の一部は、「野味」について書かれた部分である。「野味」とは、食用にする野生動物のこと。主に書かれているのはハクビシンラクダ、サソリなど、中華料理の珍味の話なのだが、興味を惹くのはムシを食う話。自分で食べる気などないくせに、食の本を読むと、どうしても珍味に心惹かれてしまうのは好事家の証か。
 さて、同じシリーズの『タイ』では、タイ東北部の昆虫食は地域の貧しさのため、とされていたが中国での事情は逆らしい。著者は「虫宴」に関して、実際に「虫宴」を試みた昆虫学者のレポートを引いているが、「梅谷さんは、文中で中国の他の物価に比べてたいへん高価であったと書かれている(メニューにはそれぞれの値段もある)。昆虫採集の経験者なら、だれでも思うであろうが、先のサソリの養殖の話のように、養殖できるものならいざ知らず、これだけの昆虫を揃えて、しかもそれぞれある量を集めるのは、たいへんなことになる。だから、高価であるのは、当然なのだった。」(213ページ)
 昆虫は、普段食べらるものではない、高価なものなのだ。ちなみにこのとき食べられたのは、タイワンタガメ、タイワンオオオサゾウムシ、ゲンゴロウ、ガムシ、サソリ、カイコの蛹、羽化寸前のセミの幼虫、クロトゲアリ。想像するだに食欲をそそらないが、たしかに小さなこれらをいちいち収集するとなれば、値段が張るのも当然だろう。
 しかし、このブログ、最近悪趣味な記事が多いなあ……