21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-05-03から1日間の記事一覧

M.クンデラ『無知』 第26章

というのも、祖国という概念そのものが、この言葉の高貴で感情的な意味では、私たちが他の国、他の国々、他の諸言語に愛着を覚えるにはあまりにもわずかの時間しかあたえてくれない、人生の相対的な短さに結びついているからである。(第34章) 『無知』の…

M.クンデラ『無知』 第39章

だが未来、それは作曲家たちの亡骸が枯葉と、もぎ取られた枝のあいだに漂っていた大河、音の洪水だった。ある日、荒れ狂う波のうえで揺すられたシェーンベルクの死体がストラヴィンスキーの死体にぶつかり、遅すぎた恥ずべき和解をしながら、ふたりとも虚無…