21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2008-05-01から1日間の記事一覧

J.M.クッツェー『夷狄を待ちながら』 第五章

生きとし生けるものは正義の正義の記憶をもってこの世に生まれ出るものというわけである。「しかしわれわれは法の世界に生きている」と私はその哀れな囚人に言った。「次善の世界に。そのことはどうすることもできない。われわれは堕ちた存在なのだ。」(308…

G.ガルシア=マルケス『百年の孤独』 (一)

そのような幻覚にみちた覚醒状態のなかで、みんなは自分自身の夢にあわられる幻を見ていただけではない。。ある者は、他人の夢にあらわれる幻まで見ていた。まるで家のなかが客であふれているような感じだった。 ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤…