21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

新刊書を電子書籍で読む

年始に今年の抱負として、「一箇月に一冊は新刊を読もう」と決めたのですが、そこは本屋に行くことがままならない海外在住なので、毎月一日、電子書籍サイトの「過去30日間の新刊」をまとめているページから選んで一冊買うことにしました。三箇月続いたので、四半期決算を。

一月度 ジョン・ル・カレ『スパイたちの遺産』(加賀山卓朗訳、早川書房
二月度 吉森大佑『幕末ダウンタウン』(講談社
三月度 ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(新ハヤカワSFシリーズ)

のっけからル・カレ御大、86歳の作品。スパイ小説の古典『寒い国から帰ってきたスパイ』の後始末の物語なのですが、1980年当時若造だったギラムもどう計算しても70台後半。上司のスマイリーに至っては90近いのですが、それでも彼らは毅然としていて、昔、人間国宝能楽師の先生が、「長生きするのも芸のうち」と言っていたのを思い出しました。
翌月はフレッシュに小説現代新人賞受賞作。新撰組隊士ハマダと芸妓マツモトが漫才コンビを組み、幕末の世に新しい生き方を捜す物語、、、ですが、脳内でどうしても美女という設定のマツモトがゲイシャガールズになってしまうのできついものがありました。
三月度は趣向を変えて中国SFのアンソロジー。表題作は、人口と失業率の増加に困った北京市が、24時間ごとに上流の住む「第一スペース」と、中流下流の住む「第二、第三スペース」を入れ換える(本当に地面が折りたたまれて裏返る)ように改造した、という大胆な話。おすすめです。