21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

禁煙の話

 禁煙18日目。禁ニコレット7日目。
 このブログは書評ブログだったはずだが、禁煙のダメージで読書があまり面白くないので、禁煙について書こう。禁煙すると体調が良くなる、という人と、そんなことはまったくない、という人がいるが、どちらも本当であることが分かった。
 まず、毛細血管の血行は相当によくなっているらしく、身体が軽く感じる。肩こりもわずかだが軽減したようだ。しかしながら、それに反比例して心が重い。何も考えられない、というより、考えたくない。
 食事や空気が美味しく感じる、という人もいるが、幸せなことに、どちらも喫煙中から不味く感じたことがないので、差が分からない。だが、感覚が鋭くなっているのは事実のようで、どっちかというと、これまで誤魔化されていた不快な感覚をしっかり感じてしまう。たとえばヨーロッパの冬は空気が乾燥していて、乾燥膚でかゆいのをよりクリアに感じられる。あまり有難くないオプションではある。
 禁煙すると肌がきれいになる、という説もある。鏡で見ると、くすみが減っているようには感じる。ただ、「禁煙ニキビ」なるものががっつりできている。毒物(ニコチン)の摂取を止めたので、ここぞと老廃物を出しているのだとか何とか、ネットを見ると書いてある。しかし、すべてにおいて、ネガティヴ意見とポジティヴ意見が同時に本当のようだ。すくなくとも禁煙に関しては。
 これまで煙草をすっていたとき、人生の作戦会議は喫煙タイムに行われていた。朝、一日の予定を決めるのも煙草を吸いながらだったし、多少難しい課題を与えられたときも、煙草を吸いながら対策を考えた。また、納得できないことや、辛いことを呑み込む時にも、つねに煙草がそばにいた。現状、あんまり煙草すいたい、という気持ちにはなっていないのだが、なんだろう、この、相談相手を失ったときのような気持ちは。劉備関羽を、とは言わないが、諸葛亮が泣いて馬謖を斬ったとき、これくらいの喪失感があったのではないだろうか。微妙だな、それ。
 ちなみに禁煙に効果があると言われるものはフル使用しているが、ゲームの呪文くらい用途が限定的なので、それぞれの効能を示しておく。

ニコレット:最強の防御呪文。吸いたい気持ちが大きく減退。ただし、根本的にはニコチン依存がなおらない、口内炎などの副作用、という弱点あり。
冷水:「禁煙うつ」の状態を回復する数少ない呪文。しかし、効果が一瞬。
コーヒー: 禁煙による眠気を防止する呪文。これがないと会社で寝てしまうので、極めて重要。「飲むとすいたくなるのでは?」という人がいるが、私の場合はそうでもない。
緑茶: 個人的には、もっとも喫煙に近いリラックス感が味わえる飲み物。眠気には効かない。
ガム: 「禁煙うつ」「眠気」にまんべんなく効く重要な呪文。噛んでいると社会復帰のための経験値をためている気分になる。しかし、アゴが疲れる。
飴(ノンシュガー): 「口淋しさ」程度にしか効かない初級呪文。常時舐めていると味がしなくなる。
飴(砂糖入り): 今まで意識していなかったが、「砂糖」には確実にリラックス効果がある。
ミンティア: 吸いたくなった瞬間にもっとも有効。ただし、目を瞑って味に集中する必要があるので、仕事ができなくなる。

 ところで、普段私はマイナス思考が好きなのだが、禁煙をはじめてからは、マイナス思考に陥ると二度と浮き上がってこられない、という気持ちがあるので、無理矢理プラス思考を導入している。「禁煙するとこんなにいいことがあります!」みたいな言葉を、「空恐ろしいなあ」と思って眺めていたが、空恐ろしい心情にならないと達成できないことだったのですね、禁煙って。