21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

雑感:ロンドンの本屋について

 さて、このブログではじめての雑感、になるが、先日ロシアでは4連休があったので、ロンドンを訪れた。(なお、4日も休むとそのあと地獄を見ることになるが、それは別の話である)。イギリス文化というものが、日本人の私に、子供のころから(童話とかシャーロック・ホームズを通じて)いかに沁みこんでいるか、を痛感させられたのはともあれ、感動したのは美しい本屋だった。基本的にロンドンの店というのは、間口は狭いけれども奥行きが深く、深い中で木造りの本棚に整然と本が並べられているのはなんとも心地よい。
 とくに創業1797年のHatchardsが大好きで、3日しかいないのに何回も行ったのだが、ここでは1940年代から、10年ごとに、その年代のベスト小説が平積みされていて、90年代はおろかゼロ年代までカバーしていることに感銘をうけた。日本やロシアの本屋では、新刊や売れ筋は並べる、あるいは年間売上ベストはあるけれども、ディケイドの名作を並べるという発想はない。ここではすでに、21世紀文学が、「歴史」の一部としてはじまっているように感じる。(そりゃそうだ。18世紀から営業しているのだから、21世紀なんて通過点に過ぎない)。
 ちなみにこのゼロ年代ベストで、私が読んだことがあるのは、マキューアンの『贖罪』と『土曜日』、Alla Al Aswanyの『The Yacoubian Building』の3冊だけだった(ほかの有名どころでは、ジュンパ・ラヒリがあった)ので、とりあえずやみくもに何冊か買ってみた。売上にも貢献しているようである。