21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

勝間和代『お金は銀行に預けるな』

 かならずしもこの人の言っていることに納得できるわけではないのだが、自分の言いたいことを確固として持ち、社会を変えていこうという発想のもと、これだけ分かりやすい概説書をものした、ということは尊敬に値する。まちがいなく名著である。ちなみに、銀行が悪事を働いているので信用してはいけません、という本ではない。
 さて、著者の言いたいこととは、「日本人はもっと金融リテラシー(お金に関する読み書きソロバン=あ、ソロバンはもともとお金に関係するか……)を身につけ、未来に対するリスクを自分でコントロールするとともに、残業代に頼らず貯蓄をふやすことでワークライフバランスをとっていこう」、ということになるだろう。世間一般の人が、べつに残業代稼ぎで長時間労働になっているわけではないと思うので、こう要約しての後半にはあまり納得できないが、転職をふくめての未来の選択肢を増やすためのお金は自分で増やしてね、というところはその通りか。ともかく、説明は本当に分かりやすい。

(『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』 光文社新書