21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2012-06-18から1日間の記事一覧

田中啓文『蹴りたい田中』

そうだ。喰わねばならない。永遠の美貌に比べればこのぐらいの臭さは屁でもない。薫は小片を飲み下すと、無理矢理大口をあけて、その果実をもうひと噛みした。バターのようなねっとりした食感である。口腔の粘膜にそれが触れた瞬間、再びおぞましいまでの異…