21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-11-07から1日間の記事一覧

R.ムージル『愛の完成・静かなヴェロニカの誘惑』 「愛の完成」

いかにも冷たい、いかにも静かな一瞬が生じ、その中で彼女は自分自身の存在を、巨大な岩壁のどこかで立った、かすかな、定かならぬ物音と聞いた。それから突然の沈黙によって、彼女は気づいた、いかにひそやかに自分がいま滴(したた)り落ちたかを、それに…