21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-07-18から1日間の記事一覧

平野啓一郎『葬送』 第一部・七

絵筆を執って暫くの間は、時々息を吐き掛けて、悴む指先をほぐさねばならなかった。しかし、じきにそれも忘れてしまって、腕を動かしていること自体を意識しなくなっていた。集中すると何時もそうであるように、手と目は直結し、からだの一部分であることを…