21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

2010-02-11から1日間の記事一覧

古井由吉『山躁賦』 「無言のうちは」

われわれの栖は、山の上から見れば、どれも霊園みたいなものだ。ああだこうだ騒ぎながら、夜ごとに往生している、先祖になっているのかもしれない。(16ページ) 『山躁賦』の第一章は、病みあがりの語り手が、叡山にむかう場面から始まる。印象的なのは病の…