21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

望月実、花房幸範『有価証券報告書を使った決算書速読術』 第二章

 これまでに読んだ会計の本の中で一番読みやすい。(正直、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』とかは、簡単に書かれすぎていて、逆に何が言いたいのかよく分からない)。書いてあることは、決算書を読むのに数字のところばかり読んでいても、会計士だってなかなか分からないのだから、字の書いてあるもの(=有価証券報告書)を参照しなさい、ということだけだが。しかし、それだけにドシロウトの私にも、論旨が面白く読める。ここ最近の「私の履歴書」で、住生活グループトステムのほうが分かりやすい?)の潮田健次郎氏が、経営を猛勉強したときに有価証券報告書の読み方を知って、目が覚める思いをした、ということを書かれていたので、おそらくは古典的な方法なのだろうけれど。
 第二章では、有価証券報告書から会社の事業はおろか、社員の給料、資産の内容、ビジネスリスク、社内の出世コースまで分かる、ということが書かれており、その方法を習った後で、第三章で吉本興業ブルドックソース、そしてスターバックスドトールの比較などを行う構成になっている。ここも、読み手の気をそらさない書きぶりである。世の中(=書店)に、財務諸表を読む上でのルールブックは各種取りそろえられているが、ガイドブックはなかなかなかった。本書はたいへんすぐれたガイドブックである。

(『有価証券報告書を使った決算書速読術』阪急コミュニケーションズ)