21世紀文学研究所

1サラリーマンの読書日記です。

ミステリをたくさん読む(4月)

 特に行くところもやることもなく、平成最後のGWを過ごしている。本を読む時間はふんだんにあるので、ずっと積読だったナボコフの『賜物』でも読んでみようかと思っているが、まだ手をつけないまま、読みかけのミステリと現代小説をパラパラ。

 今月は6冊。半分くらいはこの休みに入ってから読んだ。

 

若竹七海『錆びた滑車』(文春文庫)★★★★★

レイモンド・チャンドラー『高い窓』(村上春樹訳、ハヤカワミステリ文庫)★★★★★

薬丸岳『天使のナイフ』(講談社文庫)★★★★

深町秋生果てしなき渇き』(宝島社文庫)★★★★

ジェフリー・ディーヴァーボーン・コレクター』(池田真紀子訳、文春文庫)★★★★

若竹七海古書店アゼリアの死体』(光文社文庫)★★★★

 

 『錆びた滑車』は現時点で今年のベスト。生傷が絶えない探偵、葉村晶も、カッコいいセリフ回しも、適度に入り組んだプロットも、理屈にまったく合わない人間関係も、隅々までハードボイルドが行き届いている感じで大好き。

 そして本家ハードボイルド。中二病まっただ中の中学生のころ読んだような気がする『高い窓』。プロットは『錆びた滑車』より分かりやすいかも。ただこれ、相当なヤンデレ萌え小説ですよね、という気になった。

 『天使のナイフ』は江戸川乱歩賞、『果てしない渇き』はこのミステリーがすごい大賞の受賞作だが、やはり賞を取る作品は疾走感がすごい。どちらも展開にそこそこ無理はあるのだが、良質のページターナーであることは請け合い。

 『ボーン・コレクター』の前半は、『羊たちの沈黙』ばりの名作かと思ったが、後半やたらハリウッド映画っぽい展開に。アクションが多いのは良いのだけれど、ハリウッド映画ばりの自分語りで登場人物の心情が説明されるので、ちょっと飽きた。それでも、ストーリーは抜群に面白い。

 『古書店アゼリア』もすごく好きな空気感で、もっと高い点にしようかと思ったが、話の無理が無理に見える感じだったので、この点数。一方、『錆びた滑車』は話の無理がハードボイルドに見えるんですよね。

20冊超えたので、年間ベスト10を下記に更新。

 

『錆びた滑車』

『高い窓』

『満願』

『静かな炎天』

『春にして君を離れ』

『涙香迷宮』

ブラック・ダリア

『ブラウン神父の童心』

『ノックス・マシン』

『さむけ』